西穂高岳・奥穂高岳(縦走)
2909m 3190m (2012/09/13〜14)
コースタイム:
1日目
2日目
撤収
ロープウエー・西穂高口駅(13:39) ─→ (14:44)西穂山荘(泊)
西穂山荘(3:53) ─→ (5:01)西穂独標(5:10) ─→ (5:36)ピラミッドピーク(5:40) ─→ (6:25)西穂高岳(6:40) →
─→ (7:50)間ノ岳 ─→ (8:19)間天のコル ─→ (8:39)天狗岳(9:02) ─→ (9:20)天狗のコル →
─→ (11:18)ジャンダルム(11:25) ─→ (12:55)奥穂高岳(13:00) ─→ (13:28)穂高岳山荘
穂高岳山荘(13:50) ─→ (15:33)荷継沢 ─→ (16:22)重太郎橋(16:31) ─→ (17:22)白出沢出合 →
─→ (18:58)新穂高温泉・登山指導センター
※各ポイントの左時刻は到着時刻、右時刻は出発時刻を表す
同行者:
なし(単独行)
1日目
3年前、西穂高を縦走した時、西穂山荘から穂高岳山荘までの直線距離4kmに、12時間(休憩込み)もの時間がかかった。 登山マップのコースタイムでは10時間(休憩抜き)なので、いつか再挑戦して時間を縮めたいと思っていた。
で、7-8月に3回の山行(縦走)を重ねて、足腰のコンディションが整うのを待って、再挑戦を試みた。1日目に新穂高温泉からロープ ウエーを使い西穂山荘に入り、2日目で本番の縦走・・・というところまでは、前回と同じだが、下山は白出沢経由で直接新穂高温泉に 降りるところが前回と異なる点である。
13:00に新穂高温泉駅発のロープウエーに乗り、西穂高口駅(標高2160m)へ。ここまで来ると、樹林の隙間から稜線上に佇む西穂山荘 が肉眼で捉えられるようになる。山荘までの標高差は200m。
13:39 山荘に向け、いざ出発。
登山道の始めは、よく整備された広くて緩やかな遊歩道で始まる。5分ほど歩くと普通の山道になるが、穏やかな勾配 はまだ続く。凡そ半分の距離を消化した辺りで、一転して勾配はきつくなる。
道中、日帰りで西穂高岳や西穂独標まで行って来たという大勢の登山者とすれ違った。皆さん、それぞれの目標を果して、晴れ晴れと した表情で下山しているように見えた。そうこうしているうちに、14:44 西穂山荘に到着。
山荘で宿泊手続きを済ませ、部屋に案内されると、既に3人がくつろいでいた。その後1人が増えて、この日は8畳に5名の宿泊となった。 全員縦走コースにアタックするという。朝の準備の都合を考慮して、同じ予定の人を固めてくれたのかもしれない。そんな経緯も あって、朝は3時頃起床して、4時頃揃って出発しよう・・・ということで話がまとまり、この日は8時前に全員就寝。
2日目
3時少し前起床。素泊り客に解放されたレストランで朝食を済ませる。
3:53 相部屋になった5人揃って西穂山荘を出発。当然ライトを点けての
"ちょうちん行列"。画像は1時間ほど歩いた、独標まで あと一息のところ。
5:01 西穂独標到着。まだライトなしでは歩けない明るさ。
右後方のシルエットは笠が岳。西穂山荘からここまでは2本足だけで歩けるが、ここから先は両手も動員して、四足歩行が中心になる。
5:05頃の朝焼けに浮かぶ穂高の山々のシルエット。奥穂にかかる笠雲が ちょっと気になる。この頃には何とかライトなしでも歩ける明るさになった。
5:36 ピラミッドピーク到着。
後方中央が西穂高岳、右後方の頭が平らな ピークがジャンダルム。両者の間に地獄のような絶壁が我々を待ち受ける。
ピラミッドピークから笠が岳。
いつ見ても、どこから見ても美しいプロポーション。
西穂高岳直下の斜面から、辿って来た稜線を振り返る。後方に焼岳や乗鞍岳が・・・ (画像Clickで拡大表示)
山荘からほぼ日当りと日陰の境界を歩いて来た。
6:25 西穂高岳に到着。
相部屋だったことが縁で一緒に歩いて来た5人は、ここに来るまでに体力差が出てしまい、うち2人は先に行ってしまった。 残る私を含む3人はここまでは一緒に歩いて来たが、少しずつペースにバラツキが見え始めたので、この先の難所ではバラバラになるのは 避けられそうにない。
小休止の間に何人かでシャッターを押し合って
記念写真
もゲット。ついでに軽く腹ごしらえも済ませた。
独標を過ぎてここまでは、両手両足を動員しての歩行になったが、それでも恐怖を感じるような難所はなかった。この先奥穂高岳まで がこのコースの核心部分であり、気を抜けないA級の難所が続く。
気合を入れて行くゾ。
東隣の小ピーク・赤岩岳直下から見た西穂高岳。 北側はほぼ垂直に切れ落ちている。
赤岩岳の東側稜線。
鎖に掴まって絶壁を下る。
A級難度の天狗岳西斜面全景。右後方のやや霞んだピークはジャンダルム。
中央部下部が逆層スラブと呼ばれる難所。。
逆層スラブを登る。ここでは脚力より腕力が要求される。
下から見上げた逆層スラブ。落ちたら死ぬゾ
8:39 何とか難所をクリアして天狗岳山頂へ。
ここで20分ほどの休憩と軽い腹ごしらえの後、登って来たのと同じだけ崖を下って、天狗のコルを目指す。
最初は2本足だけで歩ける道だが・・・
最後に20mの壁下りが待ち受ける。
因みにこの人は登っているところ。
9:20 天狗のコル。
ここで右にコースを取れば岳沢を経由して上高地にエスケープできる。
天狗のコルからジャンダルムまでは特段のスリリングポイントはなく、高度差300mを黙々と歩けば良い。 とは言うのは簡単だが、正直なところ筋肉から煙が出やしないか、と思うほどしんどかった。
ジャンへの最後の50mは想像以上に風化が進んでいて、油断すると浮き石を踏むことになる。幸い下に人はいなかったが、ここで浮き石を 落としてしまい、冷や汗をかく場面もあった。
11:18 ジャンダルムに到達。
前回来た時には、濃いガスに邪魔されてここには上がらずに通過してしまったので、ささやかながら「リベンジ達成」ということになる。
ということで、ここで記念写真をもう1枚 ・・・・ はい、
ポーズ
。
NHKの内田さんはここで感激に浸っていたが、オラは先を急ぐ身なので、滞在7分でここを後にして次の奥穂高岳に向かった。
ロバの耳。 岸壁を巻きながら進むが、足下は 深く切れ落ちた谷でアドレナリンは増量。この日は濃いガスのオブラートに包まれて、目から来る恐怖感は薄かった。
最後のスリルとサスペンスのポイント、馬の背。
晴れていれば数百m下の谷底まで視界に入りAクラスのスリルが味わえるが、ここも濃いガスのオブラートに包まれて刺激は柔らか。
馬の背を通過する時の感覚は、例えば高さ20m、幅50cmの塀の上を歩くことを想像して戴きたい。20mほど下に 幅1mほどの庇状の平坦部があるが、ここで止まらなければ数百m落ち続けることになる。
そんな狭い通路を100mほど辿って通り抜けさえすれば、この縦走路のスリリングポイントは完食である。後は穏やかな稜線のコース を200mほど歩けば奥穂高岳に着く。
12:55 奥穂高岳到着。
3方から登って来た登山客が山頂の祠での記念写真を狙って順番待ちの列ができている。時間が許せばオラも並んで写真に納まりたい ところだが、今回に限ってはタイムを競う身なので、写真は諦めて次の穂高岳山荘に向かった。
奥穂滞在 5分。
奥穂高岳から山荘までは危険なところはない。強いて上げれば、山荘間際の短いハシゴ場、クサリ場が要注意箇所と いえなくもないが、縦走路全体のレベルを考えれば問題にならない。
13:28 穂高岳山荘到着。
西穂山荘からここまでの経過時間は8時間35分也。前回(3年前)と比べると3時間半の短縮である。V(^o^) ←・・・ Vサインのつもり
ここで、ピラミッドピーク辺りで先に行ってしまった前夜相部屋となった2人に再会した。オラより10分ほど早く着いたとかで、既に 缶ビールを前に宴会体制に入ろうとしていた。
20分ほどこの2人と雑談して過ごしたが、時間も早いので白出沢経由で新穂高温泉に下山することにした。2人にお世話になったお礼 を言って別れたが、少なからず呆れている様子だった。
13:50 穂高岳山荘出発。
白出沢を標高差300mほど下ったところで、来し方を振り返る。V字の稜線の底、平らに なったところが穂高岳山荘の石垣。
下方向
にはガスが沸いている。こんな急勾配の河原(?)が、標高差1000mに亘って続く。
15:33 荷継沢通過
この後、コースは河原を離れて森の中に入る。
16:00 鉱石沢通過。 この後ポツリポツリと雨が降り始めた。去年黒部源流域で、雨の中撮影を強行してデジカメを ダメにしたことがトラウマになっており、この画像が今回のツアーでは最後の1枚になった。
16:22 重太郎橋到着。 ここで雨は本降りとなってしまい、雨具を着けざるを得ない状況になった。10分弱で合羽を着て歩き始めたが、 雨脚は次第に強まり、森林を抜けるコースは水浸しになって、甚だ歩き難い。
17:22 白出沢出合通過。 明るいうちに広い林道まで降りて来られたのは上出来だった。
17:57 穂高平避難小屋通過。ここで大阪から来たという若いカップルの登山客に出合い一緒に歩き始めたが、2人は早朝新穂高を出て 槍ヶ岳まで往復して来たと言う(ビックリ)。
18時を少し過ぎた頃、深い森に入りライトが必要になった。3人で雑談混じりの歩きで、ペースはガタ落ちしてしまい、新穂高温泉への 到着は18:58になっていた。
何はともあれ、無事下山できてメデタシ、メデタシ。